武井壮、賞金女王を指導する奥嶋コーチとプレー&対談!“レッスン”において大切なことは…?
百獣の王こと武井壮が、ツアープロを目指していろいろな経験を積むのがこの企画。
今月は、21年に選手が大活躍したコーチ、奥嶋誠昭氏をゲストに迎え、ラウンドレッスンを行いました。
【稲見プロとの対談はコチラ】武井壮×稲見萌寧/“強気に輝くダイヤモンド”と 2ホール対決&トーク
敏腕コーチとのラウンドで過去イチの開眼!
武井 今年はいい1年だったでしょう(撮影は昨年末)。
奥嶋 長かった〜(笑)
武井 コーチする選手がみな活躍し、オリンピックでは銀メダルも獲りましたもんね。
奥嶋 獲得したのは選手で、選手がやっているものですから、正直、個人としての達成感はそんなにないですね。ただ、稲見(萌寧)は賞金女王、木下(稜介)は賞金ランキングで3位、高橋(彩華)もメルセデス・ランキングでは8位と、トップ10に入ったので、僕としては最低限の仕事はしたかな、という気持ちで、安心はしました。
武井 コーチとしては何点くらいですか?
奥嶋 もう少しこうすればよかったなぁと思うことのほうがたくさんあるので、60点くらいですかね。稲見は「自分自身は100点」といってましたけど。
武井 でしょうね。毎シーズンあんな成績を出すのはなかなか難しい。稲見プロのポテンシャなら今後も可能性はあるけど、簡単ではないですよね。
奥嶋 2年をまたいでのシーズンでしたが、9勝もしましたからね(笑)
奥嶋レッスンでスイングの正解をつかんだ!
武井 選手を指導するのに、もっとも大事にしていることはなんですか?
奥嶋 選手それぞれに目標があって、木下だったら世界に行きたい。高橋も年はアメリカツアーのQTを受けたいといって海外志向が強い。稲見は日本を拠点にやっていき、そこでぶっちぎりたいとか、明確なビジョンをもっています。コーチとしてできることは技術的な部分しかないので、彼、彼女たちが目標を達成できる状態にする。そのために必要なことに取り組む。コーチは裏方ですから、それのみです。
武井 コーチをして、意外だったというか「こんなことあるんだ!」と思ったことはありますか?
奥嶋 パターかな〜。「ちょっと教えただけでこんなに変わるんだ」って。ホントにちょっとなのにすごい入るから(笑)
武井 たとえば、何をどうしたんですか?
奥嶋 右腕を少し体から離すだけ、とか。とくに稲見がそうで、一番不思議でしたね。
武井 稲見プロ本人はなんていっていました?
奥嶋 「ストロークしやすくなった」って。
武井 それだけで、あんなにボコボコ入るように?
奥嶋 ラインは読めているのに、思ったところに打ち出せないから入らなかったんですよ。それが狙ったところに打ち出せるようになっただけなんですが「そんなに入るようになっちゃうの」って驚いた(笑)
武井 スイングの面ではどうですか?
奥嶋 意外ではないですが、週ごとに感覚が変わってしまうので、そのときに合う何かを伝えるのですが、たとえば「バイオメカニクス的には」とかいっても効果が出にくい。その理論自体も伝えますが、僕自身がやってみて、こういう感覚なら理解してもらえる、合うんじゃないかな、という答えを出して伝えてみる。そして、向こうからフィードバックしてもらって、と、ちゃんと対話をしますね。
レッスンはセッション!一方的に教わるだけでは本当の正解にはたどり着けない
武井 今日、僕ともまさにそんな感じでしたよね
奥嶋 そうしないと、前に進めないんですよ
武井 僕もいろいろアドバイスをいただきましたが、その言葉と奥嶋さんのスイングを見て、教えてもらったことを自分の言葉にして近づけてみたんですよ。そしたらどんどんよくなってきた。とくにダウンスイングでの左ヒザが流れてしまうのは、ずっと指摘され続けてきたんですが、これは陸上十種競技のなごりみたいなもので、どうしようもなかった。それがあきらかによくなった。まだまだでしょうが、生まれてはじめての感覚でしたね。
奥嶋 対話しながらというのは、大事なことだと思います。
武井 以前、スイングのことを知りたくて、プライベートで奥嶋さんのところにお話を聞きに行ったじゃないですか。でもそのときは、正直、自分の動きを消化しきれていなかったし、表現できないままでいたので、まだ聞きたいことがあった。で、今日は2回目ですが、あのとき聞いたアドバイスどおりのフィーリングが体と動きに実際に出てきました。
奥嶋 コツがつかめました?
武井 20年以上いろいろやってきましたが、みんな正しいことはいっていると思うんですよ。だけど、教えてもらう言葉や表現が合わないと、正しいことでもその言葉どおりにやるとうまくいかない。これはできないことをいったん自分のなかで通訳して相手に伝える必要があるな、と思っていましたが、その通訳して相手に伝える必要があるな、と思っていましたが、その通訳がはじめてうまくいった気がします。
奥嶋 それを受けて、僕もうまく通訳できていました?
武井 過去イチじゃないですかね(笑)。僕がやりたいことに近いことをいってもらっているのはわかっているから、そうやりたいんだけどできない場所がある。じゃあそれはなんなのか。聞かないとわからないし、奥嶋さんからの答えも納得でした。
奥嶋 いい対話ができていたと思います(笑)
目標は教えている選手よりうまくなること!それがいいコーチングにもつながる
武井 一緒にプレーしながら教わったのも、すごくよかったですね。奥嶋さんも僕がやりたいことと同じことをやろうとしている。アドレスに入る前のワッグルでもクラブを切り返してからも「あれがしたいから、こうしているんだな」というのが見わかった。
奥嶋 見られていましたか!
武井 レッスンってその人も意識的にやっていて説明してくれる部分と、無意識にやっているから説明しない部分がある。プロにいたっては幼少期からやっているからナチュラルボーンみたいもので、勝手にできちゃっていることが多い!奥嶋さもナチュラルにやっている部分がありますが、それは何をしているのかを見ていました。奥嶋さんもミスをすることがありますが、それも「あれをやってしまうとミスが出るんだな。でもいいときはこの動きをしている」とわかって、自分がやらなきゃいけないことはこれかな、ともわかりました。
奥嶋 そこまで見ているのはさすがですが、自分でも打てないとコーチできないんですよ。とくにツアープロのレベルは。下手な人、できない人に習いたくないでしょ(笑)
武井 どんなに理屈がわかっていても自分でできない人は、教える相手ができない理由がわかりにくいですからね。自分も、それもコース内での実戦で、ロジックを活かして動作できている人は、戦えるゴルフを教えられる。
奥嶋 理屈だけ教えてやらせても、違う動作をしてしまうんですよね。
武井 そもそも奥嶋さんって、コーチ業だけで満足してないのでは?
奥嶋 コーチよりもプレーヤーでありたいですね〜。半年くらい自分のゴルフだけをしていたいし、したら勝てる選手になれると思う。稲見にも(笑)
武井 僕もです!半年間、集中して練習できたら仕上がる気がするんだよな〜。また一緒にラウンドしましょう!そうしたらお互いウィンウィンじゃないですか。今年もお忙しいでしょうけど、ちょいちょい連絡しますので、ぜひお付き合いください!
奥嶋誠昭
●おくしま・ともあき/1980年生まれ、神奈川県出身。昨シーズンの賞金女王・稲見萌寧や高橋彩華、男子ツアーの賞金ランキング3位・木下稜介を指導する敏腕コーチ。「GEARS」を駆使したレッスンの第一人者でもある。
武井 壮
●たけい・そう/環境省サスティナビリティ広報大使、日本フェンシング協会会長など、芸能の枠を超えて活躍するマルチタレント。新プロジェクト「# スポーツを止めるな # 音楽を止めるな」をスタート。YouTubeでは「武井壮百獣の王国」を配信中。
●オフィシャルサイト gogotakei.com/
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協力=取手国際ゴルフ倶楽部